新日本酒紀行「奈良萬」
福島県喜多方市
『地元縛りの
高品質な純米酒で大成功!』
![6代目の東海林伸夫さん](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/c/7/670m/img_c7089908bd23c1c65a4d18e3274cfaa6110065.jpg)
↑6代目の東海林伸夫さん Photo:YohkoYamamoto
奈良と会津の結び付きは平安時代にさかのぼる。空海や最澄と同時代に活躍した高僧、徳一が奈良から会津に移住し、多くの寺院を建立して敬われた。その縁あってか会津には奈良屋という屋号が多い。喜多方市の夢心酒造もその一つだ。
土建業から転身し、1877年に酒造業を創業。順調に業績を上げ、1980年代は普通酒の製造1万1000石を誇った。
「当時はほぼ市内消費です。約4万人の喜多方市ですから大酒飲みが多かった(笑)」と蔵元の東海林伸夫さん。だが売れ行きに陰りが出て、危機感から98年に新ブランドを開発した。
高品質の純米酒と純米吟醸酒に特化し、屋号と創業者の萬次郎から奈良萬と命名。米は地元産の五百万石で、酵母は福島県が開発したうつくしま夢酵母のみと潔く決めた。根拠はその組み合わせで、全国新酒鑑評会で3年連続金賞を受賞したことだ。
当時の越後杜氏いわく「俺は五百万石で良い酒を造れるから山田錦はいらねえ」。だが、そう決めたものの設備は普通酒1万石用で吟醸酒には不向き。そこで酒の指導で名高い県営の福島県ハイテクプラザに相談し、指導を仰ぎ試行錯誤して完成させた。
地元縛りの酒は特徴が明快で、県外の地酒専門店で火が付き、20年間で600石に増えた。対して普通酒は400石と順調に(?)下がり、屋台骨の転換成功。
奈良萬は特に純米酒がうまいと評価が高いが、実は純米吟醸酒を名乗れる品質。
「他と比べたら明らかにうちのがうまい!」と、作戦勝ちの伸夫さんは満面の笑み。
![奈良萬 純米酒](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/b/6/670m/img_b6543e4b2a3e0a900b7dd2880a67aac6156660.jpg)
奈良萬 純米酒
●夢心酒造・福島県喜多方市字北町2932●代表銘柄:奈良萬 純米大吟醸、奈良萬 純米吟醸●杜氏:石川達明●主要な米の品種:五百万石
![会津の五百万石の田んぼ](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/c/5/670m/img_c5b6629389745a6aada8af340cc0d96a398963.jpg)
会津の五百万石の田んぼ Photo:Yumegokoroshuzo
![洗米した米を、吸水のため浸漬タンクに投入](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/4/4/670m/img_44472d2c4f010f64b1c8c51d929914c8161509.jpg)
洗米した米を、吸水のため浸漬タンクに投入 Photo:Yumegokoroshuzo
![連続式蒸米機と放冷機Photo:Y.Y.,Yumegokoroshuzo](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/8/6/670m/img_867d4a5a3d63526d3648815b2e7dbdbd209899.jpg)
連続式蒸米機と放冷機 Photo:Yumegokoroshuzo
![連続式蒸米機と放冷機](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/0/f/670m/img_0fe17b4a0dbf6be5420a07156ba265f5314246.jpg)
連続式蒸米機と放冷機 Photo:Y.Y
![酒母室](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/0/9/670m/img_0920bbe93cdc13c0c2a7f0a11aebaa2e235392.jpg)
酒母室 Photo:Y.Y
![2階にある発酵室。仕込みタンクの上部が見える](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/9/f/670m/img_9f5005d26466bd1b2b50fba690a43a40341824.jpg)
2階にある発酵室。仕込みタンクの上部が見える Photo:Y.Y
![2階にある発酵室。仕込みタンクの上部が見える](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/9/7/670m/img_97c5a30192f89071014dea47fbe3407f329506.jpg)
2階にある発酵室。仕込みタンクの上部が見える Photo:Y.Y
![2階にある発酵室。仕込みタンクの上部が見える](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/e/2/670m/img_e2538031f3a747c400d9615078e76fc6288435.jpg)
2階にある発酵室。仕込みタンクの上部が見える Photo:Y.Y
![仕込みタンクの制御盤](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/f/d/670m/img_fd280d390f0d034ce95164f274cdd1e7198599.jpg)
仕込みタンクの制御盤 Photo:Yumegokoroshuzo
![6トン仕込み用の大型タンク。自動攪拌用の羽根を内蔵](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/3/8/670m/img_38d3c09fb8f7274d9756306fe262a1f8262352.jpg)
6トン仕込み用の大型タンク。自動攪拌用の羽根を内蔵 Photo:Y.Y
![タンク内で発酵中のもろみ](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/c/8/670m/img_c88adf154680b2506fc8e341e5ce8ef2219692.jpg)
タンク内で発酵中のもろみ Photo:Y.Y
![搾りの際の酒粕を剝がす作業。奥が、杜氏の石川達明さん](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/0/c/670m/img_0c6efba7ef0953b588c0f94a0078adcd157039.jpg)
搾りの際の酒粕を剝がす作業。奥が、杜氏の石川達明さん Photo:Yumegokoroshuzo
![自動瓶詰め火入れライン](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/5/5/670m/img_55242d633c884785fa76894da5b485a2774578.jpg)
自動瓶詰め火入れライン Photo:Yumegokoroshuzo
![自動瓶詰め火入れライン](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/8/b/670m/img_8b03fd2dd5484cbfb86bf264328453ec607094.jpg)
自動瓶詰め火入れライン Photo:Yumegokoroshuzo
(酒食ジャーナリスト 山本洋子)
※週刊ダイヤモンド2020年12月19日号より転載
https://www.diamond.co.jp/magazine/20243121920.html