新日本酒紀行 地域を醸すもの 日本酒

週刊ダイヤモンド 新日本酒紀行 地域を醸すもの・出雲富士 NO.205

↑チーム出雲富士の5人衆。真ん中が蔵元杜氏の今岡稔晶さん

週刊ダイヤモンド2021年4月17日号

新日本酒紀行 地域を醸すもの「出雲富士」

島根県出雲市

山本洋子:酒食ジャーナリスト 新日本酒紀行

出雲を醸し富士を志す!

 食材を生かす木槽搾りの純米酒』

(本文)

 縁結びで有名な出雲大社のお膝元に立つ富士酒造

「神話時代から栄える出雲は、日本海、斐伊川、穴道湖、中国山地に囲まれ、自然豊かな食材の宝庫です」と蔵元杜氏の今岡稔晶(としあき)さん。

 日本酒のブレンダーだった曽祖父が、廃業した酒蔵を買い取り、1939年に創業。
銘柄は「出雲の地で富士山のように愛される日本一の酒を」と願って「出雲富士」と命名された。

 稔晶さんが日本酒に開眼したのは、イカの塩辛と酒を合わせた瞬間という。苦手だった二つが、口の中で出合うと極上のうま味に変化。酒の底力を知った。

 蔵を継ぐべく、東京農業大学醸造化学科へ進学し、修業後に富士酒造へ入社。前杜氏から引き継ぎ、2006年から杜氏になり、まず初めにしたことは、酒米農家探しだ。

 島根県が開発した酒米、佐香錦の契約栽培を専門の農家に依頼。その後、19年に農業法人野尻の郷を一緒に立ち上げ、田んぼは2.5町歩に広がった。

 清潔を保ち、醸造工程に改良を加えた。米を蒸す和釜と円い甑(こしき)を、整蒸機と四角形の木製甑に変更し、格段に酒質が向上。

 だが、変えないと決めたものもある。約40年前の木槽の搾り機だ。

 冷たい醪(もろみ)を幾つもの袋に詰め、腰を屈めて並べる作業は重労働だが、木槽でしか出せない味に個性を見いだす。

 大事にするのはインパクトより調和、料理に合う酒だ。

 モットーは「酒造りの細部に神様は宿る」。常に自戒し、心を込めて醸す。

 目指すのは、人と食の縁を結ぶ出雲の地酒だ。

 

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出雲富士 純米吟醸 佐香錦

富士酒造・島根県出雲市今市町1403 ●代表銘柄:出雲富士 純米吟醸 山田錦50、同 純米吟醸 五百万石、同 純米吟醸 超辛口、同 純米 山田錦 ●杜氏:今岡稔晶●主要な米の品種:佐香錦、山田錦、五百万石

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【写真】出雲平野を潤す斐伊川、野尻の郷の田んぼ

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出雲平野を潤す1級河川の斐伊川 Photo by Yohko Yamamoto

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出雲市の山間部、野尻地区にある農業法人野尻の郷の田んぼ。佐香錦を栽培 Photo:Fujisyuzo

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出雲市の山間部、野尻地区にある農業法人野尻の郷の田んぼ。佐香錦を栽培 Photo:Fujisyuzo

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出雲市の山間部、野尻地区にある農業法人野尻の郷の田んぼ。佐香錦を栽培 Photo:Fujisyuzo

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【写真】整蒸機と四角形の木製甑に変更し、格段に酒質が向上

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新調した四角形の甑と Photo by Y.Y.

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蒸し上がった米を掘り出す Photo:Fujisyuzo

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自然放冷 Photo:Fujisyuzo

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麹室。蒸し米に麹菌を振る Photo:Fujisyuzo