新日本酒紀行 地域を醸すもの 日本酒

新日本酒紀行 地域を醸すもの・天寶一 208

週刊ダイヤモンド21年5月15日号の「新日本酒紀行 地域を醸すもの」は、原料米を全量広島県産米にした株式会社天寶一 さんを紹介。
中でも東広島市造賀の横山勝三さんが手がける減農薬減化学肥料栽培の山田錦🌾で醸した「辛口純米大吟醸」は、切れ味が心地いい美酒!透明感と味の調和が見事な食中酒です。
蔵元のYasuhisa Murakami村上康久さんは、水を変え、米を変え、理想の地酒を追い続けてきました。
福山の市の花、バラの花から採った酵母で醸した「ローズマインド」もいただきましたが、華やか香り系とは違う、清らかでフルーティな1本🌹 村上さんの別の一面を見た気分で本当にビックリ

↑「天寶一」の暖簾が掛かる、旧山陽道沿いに立つ蔵。

週刊ダイヤモンド21年5月15日号

新日本酒紀行 地域を醸すもの「天寶一」

広島県福山市
山本洋子:酒食ジャーナリストライフ・社会新日本酒紀行

↑東広島市造賀の横山勝三さんが栽培する減農薬減化学肥料栽培の山田錦

『透明感ある切れ味を追求!

名脇役の食中酒を目指す』

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↑蔵元の村上康久さん Photo by Yohko Yamamoto

(本文)

戦後、荒廃した広島県福山市の街に市民が植えたバラはやがて市の花になり、今や100万本が咲き誇る復興のシンボルに。そのバラの花から採った酵母で醸した日本酒「ローズマインド」を手掛けたのは市内唯一の酒蔵、天寶一だ。

1910年に初代が醤油造りから転じて酒造りを始め、名前の由来は“天地の唯一の宝”という。

現当主、5代目の村上康久さんが目指す酒は「和の食材を生かす名脇役」。

透明感ある切れの良さは瀬戸内海の魚介に合い、地元料理店の定番酒だ。

25年前に蔵を継いだ康久さんは昔気質の職人タイプでコツコツと改革を続けてきた。

10年前に仕込み水を変更。酒造期最後の仕込み時に、濁り水が出て新たに井戸を掘った。
岩盤を二つ越えた地下200mで上質な軟水が湧いた。

だが、以前と水質が違い、従来の造り方が通じず悪戦苦闘。
麹と酒母造りを見直し、蒸気乾燥機を入れて米を蒸し、特製木箱で麹を造ると発酵が順調に進んだ。仕込み量を減らし、搾り機も変更。

「仕込み本数が増えて大変ですが、理想の酒に近づきました」と康久さん。

来期からは原料米を全量広島県産米にする。

今までも県産米はメインであるが、ブランド米の兵庫県産山田錦と岡山県産赤磐雄町の酒は人気があった。だが、東広島市造賀の篤農家、横山勝三さんが山田錦を、化学肥料を半分に減らして栽培したと聞き、農薬も減らせないか頼むと承諾をもらえた。

地の食材を生かす酒は地の米が一番。米も理想に近づいた。

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天寶一 辛口純米大吟醸 山田錦

天寶一・広島県福山市神辺町大字川北660
●代表銘柄:天寶一 超辛純米千本錦、天寶一 山田錦純米酒、天寶一 特別純米八反錦、ローズマインド●杜氏:高田直樹    ●主要な米の品種:八反錦、山田錦、千本錦

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【写真】天寶一は天地の唯一の宝の意

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天寶一は天地の唯一の宝の意 Photo by Y.Y.

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蔵内 Photo by Y.Y.

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昔の木の看板。創業時の名は村上酒造場 Photo by Y.Y.

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【写真】仕込み蔵、柿渋仕上げの麹箱の中敷き

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仕込み蔵 Photo by Y.Y.

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柿渋仕上げの麹箱の中敷き。麹の量で仕切り板の位置を変動可 Photo by Y.Y.

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製麹用の台の脚は車輪を付けて移動を楽に Photo by Y.Y.

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【写真】もろみ