地域の土と水と微生物を生かし、個性を表現する産土(うぶすな)の酒造りを提唱するのが、花の香酒造6代目蔵元杜氏の神田清隆さん。
蔵が立つ和水(なごみ)町、菊池川流域は古代の阿蘇山大噴火の火砕流が凝固した台地で、稲作2000年の歴史を誇る米の産地です。
酒蔵を再建するには高品質の酒造りをと、山口県の「獺祭」蔵元に直談判し、酒造りを学ばせてもらいます。
そして、地域の歴史を調べる中で、「産土」の考えと出合うのです。
酒蔵のHPは情報満載で写真がきれい!田植えのことも詳しく紹介されています。要チェック!
◉花の香酒造HP → https://www.hananoka.co.jp
蔵は菊池川支流の和仁川沿い Photo:Hananokasyuzo
新日本酒紀行「花の香」熊本県玉名郡和水町
『全量和水町の米と水で醸す!
土地の個性を表す産土の酒造り』
(本文より)
地域の土と水と微生物を生かし、個性を表現する産土(うぶすな)の酒造りを提唱する花の香酒造6代目蔵元杜氏の神田清隆さん。町の風景を自然豊かに、未来へつなぐ構想を掲げる。
蔵が立つ和水(なごみ)町、菊池川流域は古代の阿蘇山大噴火の火砕流が凝固した台地で、稲作2000年の歴史を誇る米の産地だ。
2011年に清隆さんが蔵を継いだとき、経営状況は最悪だった。最初の仕事は債権者に謝まって回ること。酒蔵を再建するには高品質の酒造りをと、山口県の「獺祭」蔵元に直談判し、酒造りを学ばせてもらう。
その後、地域の歴史を調べる中で、産土の考えと出合う。祖父、廣瀬太平さんの著書にも産土が度々登場するのを知り運命を感じた。ワインでいうテロワールを産土と表現するとしっくりきた。
蔵周りの田畑は1970年代に比べ約3割が減少。米の生産量を増やすことが急務と、酒米山田錦を栽培する農家を探し、自家田も開始。2020年には自家田5町歩、契約栽培田40町歩まで増え、念願の全量町内産米の酒造りが叶う。また熊本在来種の穂増を知り、自然農法、1本手植え、鎌で刈り取り、はさ掛け干しを行う。
町内産の米と水で醸した純米大吟醸は高評価を受け、熊本の新星と称された。90%精米や生酛造り、木桶仕込みの酒にも挑む。
酒蔵を感じてほしいと、麹室が覗ける小窓や、昔の煙突の煉瓦でカウンターを設け、山の石で水盤を作って井戸水を流し、庭には銘柄由来の梅の木を植えた。
土地を醸し表す産土の酒を志す。
↑代表作は『花の香 純米大吟醸 桜花』
●花の香酒造・熊本県玉名郡和水町西吉地2226-2
●代表銘柄:花の香 純米大吟醸 梅花、花の香 純米吟醸 菊花、花火、雪花、九拾、神田
●杜氏:神田清隆 ●主要な米の品種:山田錦、穂増
蔵は菊池川支流の和仁川沿い Photo:Hananokasyuzo
山田錦の種籾選別中 Photo by Yohko Yamamoto
山田錦の種籾選別中 Photo by Y.Y.
穂増の稲穂。45cm間隔で植え、四方へ成長 Photo:Hananokasyuzo