新日本酒紀行 地域を醸すもの 日本酒

新日本酒紀行 地域を醸すもの・酒一筋 212

 

週刊ダイヤモンド2021年6月12日号
ダイヤモンドオンラインでUPされました🌾

岡山県で雄町を復活栽培して酒を醸す、利守酒造さんをご紹介

↑備前焼の大甕で酒を貯蔵した商品もあり。

↑長期熟成酒もあります。こちらは2001年醸造の全麹で仕込んだお酒。とろみ感とうまみたっぷり!

↑さまざまな賞を受賞

 

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↑自社田の雄町 Photo:Toshimorisyuzo

新日本酒紀行「酒一筋」岡山県赤磐市西軽部

『日本最古の原生種雄町を

復活栽培した岡山の地酒』

山本洋子:酒食ジャーナリスト 

ライフ・社会 新日本酒紀行

(本文)

 1980年代、酒造業界は価格競争に明け暮れた。

 利守酒造4代目の利守忠義さんは、品質本位の別路線を模索中、1軒の農家が栽培する背の高い米と出合い感激した。

 酒造特性に優れると昔の文献にあった雄町だったのだ。当時、岡山県は多収量の朝日が奨励され、雄町は絶滅寸前。わずかに神道の黒住教へ奉納するため栽培されていた。

 忠義さんは、すぐに雄町推進協議会を立ち上げ、地元の旧赤坂町の農家と契約栽培を開始。

 高額で全量を買い取り生産を支えた。

 雄町での醸造は未知の世界だったが、現代の名工、但馬杜氏の田村豊和さんが最適な醸造法を編み出し、全国新酒鑑評会で金賞を連続受賞。

 独特のうまさが評価され、東北の酒造家が雄町を使うと人気に火が付いた。

 高値で取引され、農協が生産を拡大して県全域に栽培が広がったが「雄町に最適なのは花崗岩系の粘土質土壌で、寒暖差のある軽部地区」と忠義さん。

 さらに、酒造容器の歴史にも目を向けた。

 木桶の前は陶器だったと、備前焼の作家、森陶岳氏の大甕で酒を仕込み、定番商品に。

 また、備前焼の窯元も務め、「酒は地域の価値を重ねた土地の情報搭載商品」と語る。

 土地の文化をつなぐ酒造りを継承するのが2人の息子。

 兄の弘充さんが5代目を継ぎ、全量自社栽培を目指す。

 弟の信之さんは田村さんに師事し、杜氏を務める。

↑左から利守忠義さん、弘充さん、信之さん

 今年の但馬杜氏自醸酒研究会では、純米と吟醸両部門で県知事賞をW受賞。

 先代が生み出した雄町の酒を、兄弟が信念を持って引き継ぐ。

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↑「酒一筋 生酛純米吟醸」

利守酒造・岡山県赤磐市西軽部762-1
●代表銘柄:酒一筋 純米大吟醸、赤磐雄町ゴールド、天下人、酒一筋 赤磐雄町、秘蔵古酒
●杜氏:利守信之
●主要な米の品種:雄町

↑「酒一筋・時代おくれは、ワインでいえばソーテルヌ!」と利守酒造・利守忠義さん
  

↑忠義さんはオリジナルボトルも数々開発。

 

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【写真】雄町に適した軽部地区

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蔵と田んぼ Photo by Y.Y.

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9月の雄町 Photo:Toshimorisyuzo