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新日本酒紀行 地域を醸すもの・鏡山 251

コンパクトで清潔な酒蔵!小江戸鏡山酒造

驚きの手動!搾り

週刊ダイヤモンド22年3月26日号


新日本酒紀行 地域を醸すもの 連載251 では
埼玉県川越市の新しい酒蔵! 
小江戸鏡山酒造 さんを紹介しています!

小江戸川越の極小蔵が醸す
フレッシュな濃醇旨口酒

本文より
江戸情緒を残す町並みで人気の埼玉県川越市は、県内一の観光客数を誇り、蔵の街を名乗る。

 だが、2000年に最後の酒蔵が廃業。これを憂いた有志が酒蔵復興運動を起こし、飯能市の五十嵐酒造の協力を得て、07年に新しい酒蔵が誕生した。

 銘柄は最後の蔵の酒名を継ぎ、小江戸鏡山酒造として始動。新蔵は醤油蔵の敷地内にあり、面積はテニスのインコート1面分という極小蔵。実は復興に共感した松本醤油商店の店主が、土地と水の提供を申し出たのだ。

 蔵元に抜擢された五十嵐酒造の次男、五十嵐昭洋さんは酒造と別の道を歩んでいたが、父からの命で酒蔵の立ち上げに奔走。まず決めたのは酒造りの方針だ。

 味は濃醇旨口、地元米を中心に小仕込み。麹は伝統製法。搾りはもろみを袋に入れて搾り、瓶火入れ、無濾過が特徴。温度調整機能を完備し通年で醸す酒は、フレッシュで香りや甘味、酸味の利いたメリハリある酒として評判を呼ぶ。

 昭洋さんは原料米にも注力し、県が開発した酒米さけ武蔵の栽培を市内9軒の農家と契約する。酒造適性に優れた品質を目指し、県の農林部と全農から技術サポートを受ける仕組みを考えた。

 そのかいあって、19年に県内初、さけ武蔵で醸した大吟醸が全国新酒鑑評会で金賞を受賞した。苦難は多いが明るく乗り越える昭洋さんは地元で一目置かれ、川越の一等地にある老舗酒屋から運営の依頼も。

 平成生まれの極小蔵が、田んぼから街へ、川越を明るく醸す。

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↑ 鏡山 さけ武蔵大吟醸

小江戸鏡山酒造・埼玉県川越市仲町10-13
●代表銘柄:鏡山 純米大吟醸、鏡山 斗瓶取り雫酒、鏡山 純米吟醸、鏡山 純米酒、鏡山 再醸仕込み
●杜氏:山田 真 ●主要な米の品種:さけ武蔵、雄町、山田錦

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【写真】蔵元、契約農家、さけ武蔵の麹

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蔵元の五十嵐昭洋さん Photo by Yohko Yamamoto

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埼玉の酒米「さけ武蔵」の契約農家さん Photo:Koedokagamiyamasyuzo

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麹室 Photo:Koedokagamiyamasyuzo

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麹室 Photo by Y.Y.

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麹室 Photo by Y.Y.

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さけ武蔵」の麹 Photo by Y.Y.