新日本酒紀行 地域を醸すもの 日本酒

新日本酒紀行 地域を醸すもの・明石鯛 NO.298

新日本酒紀行 地域を醸すもの

兵庫県明石市大蔵八幡

「明石鯛」AKASHITAI

新日本酒紀行「明石鯛」

↑ガラス張りのビジターセンター Photo by Yohko Yamamoto

明石海峡から世界へ!

醸造と蒸溜の二刀流で35カ国へ輸出』

 明石海峡大橋近くで、酒蔵と蒸溜所を併設する明石酒類醸造。
社是は「全ての人に酒と笑いと幸せを」と蔵元の米澤仁雄さん。農家、造り手、流通と売り手、消費者の皆が酒を通して笑顔になる幸せな商いを目指す。

 1856年創業の老舗だが、太平洋戦争で蔵は全焼、1995年の阪神・淡路大震災でも甚大な被害を負った。1万石以上あった生産能力を大幅に縮小し、吟醸酒にシフトするが苦戦。
知名度がなくても勝負できると思い海外へ。

 2005年に国際展示会に初出展し、年間の3分の1を海外で営業するが、売り上げにつながらない。地縁を得て、英国ロンドンのローカル市場に特化して営業に励んだ。

 一方で、09年に蔵を移転。空調を完備させ、温度管理可能な細長い小型タンクを特注し、四季醸造へ転身。

 ウイスキーにも挑戦し、17年に海峡蒸溜所が完成すると、地域素材を活用したジンも手掛けて高評価を得た。日本酒は地元播磨産の山田錦で醸した酒が、地理的表示制度「GIはりま」の指定を受ける。

海外客も来訪する、明石の名所に

 さまざまな努力が実を結び、海外や国内の鑑評会で入賞が続くと、評判を知った国からの注文が増え、今や生産量の95%を35カ国に輸出する。
22年には念願のビジターセンターを設立し、見学と有料試飲、買い物も楽しめる蔵に。
海外客も来訪し、新たな明石の名所と評判だ。
「見学後は明石に泊まって、魚の棚(うおんたな)や明石の飲食店で地魚を食べて楽しんでほしい」と、米澤さん。次の目標は、明石の夜を盛り上げることだ。


純米大吟醸原酒 明石鯛

明石酒類醸造・兵庫県明石市大蔵八幡町1-3
●代表銘柄:大吟醸原酒 明石鯛、特別純米 明石鯛、波門崎ウイスキー、東経135度兵庫ドライジン
●杜氏:岸本隆宏
●主要な米の品種:山田錦、五百万石
新日本酒紀行「明石鯛」
ガラス張りのビジターセンター。買い物や有料試飲も楽しめる。 Photo by Y.Y.
新日本酒紀行「明石鯛」
ガラス張りのビジターセンター。2階からのぞむ Photo by Y.Y.