新日本酒紀行 地域を醸すもの 日本酒

週刊ダイヤモンド 新日本酒紀行 地域を醸すもの・玉川 NO.196

新日本酒紀行 地域を醸すもの「玉川」

京都府京丹後市久美浜町

山本洋子:酒食ジャーナリスト 新日本酒紀行

週刊ダイヤモンド21年2月6日号で紹介した
「玉川」がオンラインでUPになりました!

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↑杜氏のハーパーさんは英国生まれ、オックスフォード大学卒業で、1988年に英語教師として来日。日本酒の虜になり酒造家の道へ Photo by Yohko Yamamoto

『熟成と熱々の燗酒に向く!

 変化が面白い酒』

(本文)

 海の京都と呼ばれる丹後半島で、1842年に創業した木下酒造。地元だけで消費されていた酒を、国内外から注文が来る酒に転換したのは11代目の木下善人さんだ。

 2007年に、英国人のフィリップ・ハーパーさんを杜氏に抜擢し、それまでの日本酒になかったジャンルを次々と商品化。その一つがロックで飲む夏の酒「Ice Breaker(アイスブレーカー)」だ。氷が溶けるにつれ、温度とアルコール度数が下がり、味わいも変化。ペンギンのイラストラベルと商品名も業界を驚かせた。

 また、江戸時代の製法を再現した濃醇甘口の酒「Time Machine 1712(タイムマシーン1712)」は、アイスクリームやブルーチーズ、地元名物の鯖の糠漬け、へしことのペアリングを提案し、飲み手の度肝を抜いた。

 杜氏のハーパーさんは、「自然仕込」と呼ぶ酵母無添加の生〓(〓は酉に元)系酒母の酒造りに力を注ぐ。

 たくましく育ったもろみは純米酒の原酒でアルコール度数が22%を超えることもあり、長期熟成と超熱い燗酒に向くのも特徴だ。一般的に燗酒の上限は55℃の飛び切り燗とされるが、「うちの酒は、そんなぬるく燗しない(笑)」とハーパーさん。「お茶くらい熱くすると、味がスパッと切れて、優しいうま味が広がる。燗冷ましもおいしいよ」。

 原料米には京都府産の祝(いわい)や、コウノトリの野生復帰を応援する無農薬栽培米も使う。

「搾りたての酒は出発点」と木下さん。新酒もよいが時間が育てた酒のうまさは格別。「押し入れでも熟成できます。第二の酒造りは家で、マイ玉川を育ててほしい」。

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玉川 自然仕込 生〓(〓は酉に元)純米酒 コウノトリラベル

●木下酒造・京都府京丹後市久美浜町甲山1512 ●代表銘柄:玉川 自然仕込 純米酒(山廃)ビンテージ、玉川 純米吟醸 祝 ●杜氏:フィリップ・ハーパー ●主要な米の品種:北錦、五百万石、雄町、祝、山田錦

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蔵は京丹後市の久美浜に立つ Photo:Kinoshitashuzo

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蒸米の準備 Photo:Kinoshitashuzo

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米を蒸す Photo:Kinoshitashuzo

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麹造り Photo:Kinoshitashuzo

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櫂入れ Photo:Kinoshitashuzo

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蔵の直売店 Photo:Kinoshitashuzo

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試飲も可 Photo by Y.Y.

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生〓(〓は酉に元)純米酒コウノトリラベルはうま味のある辛口。

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生〓(〓は酉に元)純米酒コウノトリラベルはうま味のある辛口。

オリがたまるのもおいしさの証。デザインは坂根克介氏  Photo by Y.Y.