新日本酒紀行 地域を醸すもの 日本酒

新日本酒紀行 地域を醸すもの・竹雀 216

週刊ダイヤモンド 2021年 7/10号

おだやかでまろやかなお酒、岐阜の「竹雀」さん
中でも生酛造りのお酒は、温めると抜群においしい。

お酒造りは家族4人でという小さな酒蔵で、「竹雀」というブランドを立ち上げたのは、大塚清一郎さん。奥さんの亜希子さんとの出会いは、剣道が縁。素敵な美男美女カップルです!

新日本酒紀行 地域を醸すもの
岐阜県揖斐郡池田町
竹雀TAKESUZUME

山本洋子:酒食ジャーナリスト

ライフ・社会 新日本酒紀行

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創業1884年。蔵前で清一郎さんと亜希子さん Photo by Yohko Yamamoto

『家族で醸す小さな蔵の

しなやかで力強い純米酒』

(本文より)

 大塚酒造の6代目で杜氏の大塚清一郎さんは剣道5段の腕前で、竹刀を櫂棒に持ち替え、純米酒造りに精魂を込める。妻の亜希子さんは剣道3段、高校国体の試合で亜希子さんが一目ぼれし、結婚に至る。酒造りは夫婦と清一郎さんの両親だけという家内制手工の蔵だ。

 清一郎さんは東京農業大学醸造科を卒業後、酒の味にほれ込んだ三重県の元坂酒造の門を叩き、2年間酒造りを学び、蔵に戻った。そして、2010年に立ち上げた銘柄が「竹雀」だ。

 酒名は家紋の「竹に雀」からで、家紋は剣道の防具に入れ、常に一体だった。

「竹はしなやかで折れにくく強度もあります。雀は群がって繁栄し、縁起が良い。ただ、雀は米を食べてしまうのが難ですが(笑)」と清一郎さん。

 全ての酒を800キログラム以下の小仕込みで丁寧に醸し、華やかな香りや甘さはない。芯があり飲み飽きせず、燗酒もうまいとあって飲食店から高評価を得、11年間で醸造量は3倍強に増えた。

 中でも人気は、蔵近くの田んぼで契約農家の野網さん親子3人が育てた山田錦の酒。酵母無添加による伝統的な生酛造りで醸した無濾過の純米酒だ。

 田んぼの水と仕込み水は近くを流れる粕川の伏流水で、土地の米と水だけで醸す。うま味や酸味が調和し、燗にするとさえ渡り熟成にも向く。郷土料理の朴葉味噌や肉料理にも寄り添う。

「土地の気候風土を酒として表現したい」と清一郎さん。

目標は全量を町内産の米で生酛造りすることだ。

(酒食ジャーナリスト 山本洋子)

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竹雀 生酛純米酒

●大塚酒造・岐阜県揖斐郡池田町池野422
●代表銘柄:竹雀 純米、竹雀 純米 超辛口、竹雀 山廃純米酒、初霜 純米酒
●杜氏:大塚清一郎    ●主要な米の品種:山田錦、雄町、五百万石、ハツシモ

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【写真】野網家の山田錦圃場の四季。仕込み水と同じ粕川の伏流水で育てる

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野網家の山田錦圃場の四季。仕込み水と同じ粕川の伏流水で育てる Photo by Y.Y.