杜氏の荻原亮輔さん。身長190cm!タンクが小さく見えます
Photo by Yohko Yamamoto
新潟県上越市西城町
『世界初!極少量仕込みの蔵が問う
芋焼酎とのコラボ酒』
(本文より)
スキー正宗という不思議な銘柄が新潟県上越市(元高田市)にある。明治期にオーストリア将校のレルヒ少佐が、日本で初めてこの町にスキーを伝え、城下町がスキー用具の製造で栄えた。スキー飴やスキー羊羹などが商品化され、スキー正宗も誕生。ほとんどの商品が消える中、酒だけが残った。
だが、売り上げが減少し、蔵は2018年に地元の会社に代替わりした。新しく醸造責任者に抜擢されたのが、二つの蔵で経験を積んだ荻原亮輔さんだ。
大量生産型の設備は老朽化が激しく、「少量仕込みの高品質の酒で回転良く」と方向転換。
20年10月に四季醸造できるコンパクトな酒蔵を新設した。
仕込みは一般の1/10の量で醸せて、蔵見学も対応可。
高品質を追求し、原料米は市内の農家の酒米を直接購入。
清潔な環境で荻原さんが1人で徹底的に丁寧に醸す。
少量仕込みのメリットを生かし、オーダーも受ける。農家が米を持ち込み、お寺が檀家に配る酒を発注するなど地元密着型に。
また、酒粕には酒がたっぷり残り、柔らかでうまいと飲食店や漬物名人から注文も。
新たに立ち上げた銘柄は「狼煙」。同じ酒米を酵母違いで醸すなど、続々と限定品を出す。
9月は世界初の芋焼酎とコラボした酒を発売。
焼酎の添加は柱造りと呼ばれる手法だが、芋焼酎とは前代未聞。東京農業大学の後輩、松露酒造の矢野裕晃さんの芋焼酎をブレンドし、花や果実のような香りとリッチな味に仕上げた。
小さな蔵の再出発! 今、狼煙は上がったばかりだ。
●武蔵野酒造・新潟県上越市西城町4-7-46
●代表銘柄:狼煙、スキー正宗復刻版、寿亀正宗 純米大吟醸
●杜氏:荻原亮輔
●主要な米の品種:山田錦、亀の尾
武蔵野酒造 蔵の玄関 Photo by Y.Y.
昔の看板と陶器の壺 Photo by Y.Y.
酒造工程が窓から見学可 Photo by Y.Y.
〜日本酒ができるまで〜 Photo by Y.Y. 拡大画像表示
清潔な原料処理場 Photo by Y.Y.
最新の移動できる電気甑! Photo by Y.Y.
杜氏の荻原亮輔さんと電気甑(やっぱり小さく見えます)Photo by Y.Y.
麹室の扉 Photo by Y.Y.