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新日本酒紀行 地域を醸すもの・ 三千櫻 229

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↑東川町の春の田んぼ Photo:Michizakurasyuzo
新日本酒紀行 地域を醸すもの「三千櫻」

北海道上川郡東川町

山本洋子:酒食ジャーナリスト 新日本酒紀行 

週刊ダイヤモンド 2021年 10/16号

『岐阜から北海道東川町の公設酒蔵へ移転
最上の地酒を極める』

(本文より)

 北海道最高峰の大雪連峰旭岳の麓の町、東川は道内で唯一、蛇口を捻ると天然水が出る。100年かけて濾過された雪解け水は大雪旭岳源水と呼ばれ、農業用水から生活用水まで全てを担う。

↑photo https://town.higashikawa.hokkaido.jp/about/water.php

 東川米は米の鑑評会で高評価を受けるブランド米故に、町は水と米を生かした名産品を計画。町営で酒蔵を建て、酒造会社を公募した。それに応えたのが岐阜県中津川市にあった三千櫻酒造だ。

 蔵元と蔵人が1550kmの大移動を行い、2020年に再開業。

 大英断したのは6代目の山田耕司さんだ。

 「仕込み水は中硬水でミネラルが多く、発酵が活発。麹や酵母の造り方は前と同じでも、冷涼な環境で育った米は硬い特性で、透明感ある味に仕上がりました」。雑味のないおいしさに町民は大喜び。「でも、きれい過ぎる。もっとふくらみを」と山田さんは贅沢な悩みを言う。

 岐阜の冬も寒かったが、東川町の外気温はマイナス20℃以下にまで下がる。だが近代建築の酒蔵は密閉性が高く、前の蔵より室温が上がった。
「前は老朽化して隙間風が吹き、もろみタンクを温めましたが、今は冷やすだけ」。山田さんの妻、和枝さんは沖縄出身。「東川の家は暖房が効いて暖かいと喜んでます(笑)」。

 東川町の専業農家は1軒が20町歩と大規模で、JAひがしかわは酒米の彗星ときたしずくの栽培を推進。精米所も建設予定だ。酒造りの環境はますます充実。
創業の1877年から143年目に行った第二の創業。冷涼な気候、米、水を味方に、北の新天地の地酒を極める。

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三千櫻 純米大吟醸 きたしずく45

三千櫻酒造
●北海道上川郡東川町西2号北23
●代表銘柄:三千櫻 純米大吟醸 彗星45、同純米吟醸 彗星55、同純米吟醸 きたしずく55
●杜氏:安藤宏幸 ●主要な米の品種:きたしずく、彗星

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【写真】冬の酒蔵、洗米

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冬の酒蔵 Photo:Michizakurasyuzo

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冬の酒蔵 Photo:Michizakurasyuzo

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洗米 Photo:Michizakurasyuzo