新日本酒紀行 地域を醸すもの 日本酒

新日本酒紀行 地域を醸すもの・不動233

 


週刊ダイヤモンド 2021年 11/13号 新日本酒紀行 地域を醸すもの「不動」

千葉県香取郡神崎町

山本洋子:酒食ジャーナリスト新日本酒紀行

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「仁勇」と創業地の成田山にちなんだ「不動」 Photo by Yohko Yamamoto

https://www.nabedana.co.jp

 

リーズナブルで高品質!
成田のお不動様にちなんだ心に響く酒

(本文)

 社名の鍋店(なべだな)は、貴重な鉄を扱ったことに由来。1689年に佐倉藩から酒造株を与えられ、成田山新勝寺の門前で創業。後に利根川の水運が便利な神崎町へ移転した。

 19代蔵元の大塚完さんが目指すのは「人の心に響く酒」だ。

 当地は米と大豆の適地で、酒、味噌、醤油の醸造蔵が集まり醸造の町として栄えた。今、町は「発酵の町」を掲げ「発酵の里こうざき酒蔵まつり」を開催。人口5800人の町に5万人が集まる名物イベントだ。

 酒蔵は古い木造で、連続蒸米機など大型の醸造設備が並ぶ。酒の核となる米麹は、珍しい2階建ての麹室で手造りを徹底する。

「味の決め手となる米麹は最も気を使います」と元杜氏で製造と営業の部長を兼任する清水嘉明さん。

 銘柄は2本柱。千葉産米を中心に醸す「仁勇」と、各地の酒米で限定醸造する「不動」。製造量のトップは仁勇純米吟醸で穏やかな吟醸香とコクがあり、4合瓶で1155円というコスパの良さで大人気。不動は手間をかけた「吊るししぼり」に、生酛(キモト)、山廃、水酛など仕込み違いがそろい、酒好きを喜ばす。全体で約200種類もある。

 蔵見学とテイスティングにも力を入れ、「酒造りを身近に感じ、楽しく選んでほしい」と清水さん自ら案内役を務め、リピーターも多い。

 千葉の酒は品質は良いが知名度不足と、「千葉日本酒活性化プロジェクト」が発足。鍋店を含む5蔵が参加し、県内の有機栽培農家の山田錦を精米80%で醸す。

 酒造り333年目、さらなる心に響く酒を追う。

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不動 吊るししぼり 無濾過 純米吟醸生原酒

鍋店 神崎酒造蔵・千葉県香取郡神崎町神崎本宿1916  ●代表銘柄:仁勇、不動  ●杜氏:児玉就範  ●主要な米の品種:美山錦、ふさこがね、秋田酒こまち

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酒蔵併設の店は試飲も可 Photo by Y.Y.

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酒蔵併設の店は試飲も可 Photo by Y.Y.

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酒蔵併設の店は試飲も可 Photo by Y.Y.