新日本酒紀行 地域を醸すもの 日本酒

新日本酒紀行 地域を醸すもの・白川郷 純米にごり酒 248

週刊ダイヤモンド 2022年 3/5号『新日本酒紀行 地域を醸すもの』は、岐阜県大垣市の「白川郷 純米にごり酒」を紹介しています。

山本洋子:酒食ジャーナリスト

新日本酒紀行

img_6f40b011c079998fae2450648d063d1a1501989.jpg

酒蔵 Photo:Miwashuzo

『日本唯一のテクスチャーを持つ
にごり酒の魅力を世界へ』

(本文より)

 とろりとクリーミーな口当たりのにごり酒は、どぶろくと混同されがちだが、酒税法では、にごり酒は清酒、どぶろくはその他の醸造酒に分類される。違いは、濾(こ)すか濾さないかだ。

 1976年から、世界遺産の白川郷の名を冠したにごり酒を醸す三輪酒造。8代目の三輪研二さんは、白濁した酒の面白さを世界に広めるのが夢。全国的にどぶろく醸造所が増え、その機運が高まってきたと感じる。

「にごり酒は、濾すから面白い。全国に1000以上のにごり酒があるが、造り方は千差万別です」。

 三輪酒造は三段仕込みの最後に甘酒を加える四段仕込みが特徴。
醸造後に独自の網で濾し、濃厚で甘酸っぱく仕上げる。

 和洋中韓の料理に合い、海外にも輸出。
醸造期間は10カ月と長く、「ささにごり酒」や瓶内二次発酵の泡酒、冷凍酒、どぶろくも造る。

 原料米はあえて飯米。「米のタンパク質がアミノ酸に変わり、米の油分はコクを生む。いわば飲むご飯」。米の全量がほぼ酒になり、酒粕はたったの1%! レジスタントプロテイン、アミノ酸、ビタミンB群、食物繊維を含んでおり美肌効果や整腸作用もあるという。

「にごり酒のテクスチャーは世界でも唯一。甘味もうま味もあり、ロックでも燗(かん)でも、炭酸割りでもOK。コーヒーやぜんざいとも相性抜群なんです!」。

 今年、2月5日を「にごり酒の日」として記念日登録した。他の蔵と一緒に、にごり酒協会も立ち上げる予定。

 「毎月25日もにごり酒の日に」と研二さんの夢は広がる。

img_232b7e57fc620b049c0e292bb3f5272c226929.jpg

白川郷 純米にごり酒

三輪酒造・岐阜県大垣市船町4-48
●代表銘柄:白川郷 にごり酒、道三吟雪花、決戦関ヶ原、鉄心
●杜氏:杉原厚雄  ●主要な米の品種:岐阜県産米、ひだほまれ

次のページ 三輪酒造の酒造り

img_ef448d91bb1a5078324c68f93789b8c81625108.jpg

三輪酒造の直営店 Photo:Miwashuzo